向日葵を君に_1

part 1: 向日葵の花束
2016/08/10 服部の日記念 Ame版改訂

和葉に告白しよ!と決めてから、はや半年

オレなりに直球勝負で果敢に攻めてるんやけ
ど、どうも上手くいかへんのや

妖怪にゾンビに自衛隊に?京都から押しかけ
て来た姉ちゃんになどなど
次から次へと押しかける邪魔モノ相手にして
一向に、告白出来る気配が無いねん

工藤に至っては、
「で?オメーはいつ死んでくれるんだ?」
生き様は、いつ、見せてくれるのかと、最近
では完全に、鼻で笑われとるくらいや

で、気がついてしもうてん

「上手くいかへん?ちゃうやろ?ただ、アン
タが、ヘタレなだけやろが💢」

通りすがりの、オレのオカンの一言

あ、そうか
オレ、ヘタレなんやって

そう思ったら、もう、何をどうしてええか、
余計、わからんようになってもうて、和葉を
目の前にすると、上手い事話せんようになっ
てしもうたんや

進路先はどうにか同じ方向になった、と言う
か、半ば強引に、めちゃくちゃな理由で和葉
の希望を聞き出し、自分も同じエリアに志望校を決め
とりあえず、家は一緒に出られる予定や

でも、おそらく和葉は、別々に住む気満々や
と言うのも、見てしもうてん
和葉の持ってた留学案内で、単身者用の宿舎
に付箋が付いてんのをな
学生向けアパートとかも

オカンにも、無邪気に話してたしな
女の子専用のええとこもあるみたい、と

その話相手をしながら、オレを見た夜叉の目
を、オレは忘れる事が出来ん

オレらはすでに出願済みで、後は結果待ち
とりあえず、受験勉強は継続しとるけど、オレは最後の夏の殆どを、事件追う事に夢中に
なってもうて、和葉との時間は恐ろしく少な
くなっていて

と言うのも、和葉も、居らんねん

おっちゃんも出張中やと言うのに、服部邸に
寝泊まりもしてへんみたいやし
オレ、和葉は家に居るって思いこんでたから
のんきに飛び回ってたんに

(アイツは一体、何処へ行ってんのや💢)

オカンも忙しく飛び回ってて、和葉の行方を
聞けへんし、オレはひとり不機嫌になる

「平次!」

どこからか、声がする、思うたら、向かいの花屋の前で、黒いエプロン姿の和葉や

何してんねん、言うたら、バイトやと言う
ひとりで家に居ってもつまらんし、稼げる間
に稼ぐんや言うて

「オマエ、学校、バイト禁止やで?」
「届け出したら、休暇中はええんよ?」

和葉ちゃん、知り合い?と言う店主の声が聞こえると、ひょい、と顔を出したんは、背が高い爽やかな若いイケメン

自然と、オレのコメカミに💢マークが浮かぶ

オレの不機嫌さが顔に出たんか、イケメンは言うた 
妹が和葉ちゃんと知り合いで、ピンチヒッタ
ーを頼んでくれたんや、と

オマケに、オレに囁いた
どんなに和葉ちゃんが魅力的やとしても、オ
レにはこれからプロポーズする相手、もうち
ゃんと居るし、と笑う

今日は、もういいよ、と言われた和葉と一緒
に帰るオレ

和葉の腕の中には、向日葵の花束
ダメになっちゃうから、どうぞ、と言われた
中から、和葉が選んだんや

素人目には、まだまだ元気に咲き誇る様子や
ねんけどな

家に帰ると言う和葉について、遠山家に帰宅
するオレは、向日葵の花束を解いて、茎や葉
の手入れを一本ずつ丁寧に世話する和葉のた
めに、クーラーを付けて、冷茶を淹れた

「朝からずーっと動きっぱなしで疲れた」

結構、重労働なんやね、お花屋さんも、と笑
う和葉のために、夕飯はオレが作る

「おおきに💕平次、事件解決出来たん?」

もぐもぐと、元気にカレーを食べる和葉を前
に、いつものように、事件の話をする
和葉のバイトの話も聞いて、最終出勤日を聞き出した

リビングで、一緒に映画を見てる途中で爆睡
した和葉をソファに寝かせ、布団を掛けてやり、自分はそのまま映画を見て
和葉の傍に、転がって寝た

それから、和葉がバイトをしている間、オレ
は事件と、親父達への勝負とお願い事に奔走
する日々を過ごした

あの日、眠る和葉を見て、誓ったんや

コイツは絶対、誰にもやらんって
オレの和葉やって
ヘタレ、返上や!ってな

親父達は、オレのお願いに、半ば呆れ顔で
でも、和葉が幸せになるんやったら、の条件
付きやけど、最後は折れてくれた

和葉のバイト先に、和葉が居らん隙をついて
行ったオレは、あのイケメン店員に頼み事を
した

「OK、任せて」

向日葵をメインにした花束のアレンジをオー
ダーして、花束と一緒に封筒を預けたんや

オレだけやなく、証人欄まで記入押印済の婚
姻届と、ペアリングのオーダー引換券を封筒
に入れてん

それを、バイト最終日に、和葉に渡してくれってな

今日は、和葉のバイト最終日
そして、アップの時間や

間も無く、しっぽ揺らして飛んでやって来る
やろな

オカンは台所で和葉の好物ばかりを、大量に
こしらえている
そらもう、浮かれとんねん

元気な彼女が飛んで来るまで、後少し
何で知ってるかって?

おっちゃんが迎えに行ったら、目の前を花束
抱えて猛ダッシュして行く娘を見た、と連絡
があってん

「父親の目の前、素通りやで?アイツ💢」

おっちゃんが、口惜しそうに言った
今夜は、平ちゃん、覚悟しいや💢と

「ただいま!
ちゃう!お邪魔します!」

玄関の扉が開いた途端、元気な声が聞こえた

階下から聞こえるオカンと和葉の声を聞きな
がら、オレは覚悟を決めて、降りて行く

大好きな、オレの向日葵娘まで、あと少し

part 2へ
to be continued 
★読み切り短編オムニバス形式シリーズです

7th heaven side B

Ame&Pixivにて公開した二次創作のお話を纏めて完成版として倉庫代わりに置いています^ ^

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