向日葵を君に_2

part 2: 向日葵と麦わら帽子
2016/08/10 服部の日記念サイト限定版改訂

「あ、あれ、可愛ええな」
「麦わら帽子か?懐かしいな」

いつものごとく、事件帰りのオレら
今回は、工藤(コナン)と姉ちゃんと4人で
地方まで出張った帰り道やった

「たまには、息抜きに」

そう言った毛利探偵が、誘った話やった
姉ちゃんは、国内進学で学校推薦枠を狙い、
現在は猛勉強中のまっ最中

オレと和葉は、一足早く、海外進学の手続き
と各種試験をクリアして、後は結果待ちで、
まだ、誰にもその進路の事は話してはおらん

理由はただひとつ
和葉は、もう遠山姓では無いからや

オレの告白は、最初からプロポーズやった
オレは、工藤らみたいに器用や無いし、そう
何遍も上手い事は言えんし、ぐずぐずしとっ
たら、和葉、取られそうやったし

男やったら一発勝負や!ってな

半年もぐずぐずしとったオレを、最後に崖か
ら突き落としたんは、オカンやった

今すぐ服部家の子息を止めるか、人間止める
か、アンタはどっちがええ?言われてん

和葉に言いよる男が多いのは、デフォルトや
ねんけど、2年から3年にあがる時は、みん
なもう、これが最後やってな、凄かったんや

自分はモテへんと信じきってる和葉にしたら
連日の呼び出しも、待ち伏せも、恐怖以外の
何ものでも無く

「何や、賭けの対象か、罰ゲームの対象にな
ってんのやろか??」

と首を傾げてて、そのボヤキを耳にした親父
とオカンが、キレたんや

で、焦りに焦ったオレは、和葉を捕まえて、
好きや言うて、返事をもらう前にちゅーして
しもうてん、うっかりな (//∇//)

「私、まだ何も返事してへん!💢」

と、真っ赤になった和葉に抗議されたけど、
そんなんもうしてしもうた後やし

「初めてやったんに」
「ん?初めてやないで?」
「アンタはそうかも知れへんけどなぁ…💢」
「オマエも一緒や」
「はぁ??」

中学上がる直前に、もうとっくの昔にオマエ
のファーストはオレが美味しく、いただいた💕と言って、唖然とした和葉にぶん投げら
れてん

告白どころか、パニック状態になった和葉は
熱出して寝込んでまうし
そらもう、大変な騒ぎになってん

拗れるどころか、より絡まる一方のオレらを
交通整理してくれたんは、オカンと親友の晃
と翠やった

おまけに、海外進学やって言われて、和葉を
連れて東京でも行こうかと考えてたオレは、
大慌てで進路変更したんや

何せ、オレより難関目指してる和葉をひとり
で海外行かせるなんて、オレの、プライドが
絶対に許さん

それに、オレが探偵するのは大学が最後やし
全部、和葉が一緒に居る事が前提やねん

和葉が国外くんやったら、今度はオレがつい
て行くしかないやん?

呆れる親父達を拝み倒して、交換条件に出さ
れたんは、

「同棲は、絶対に認めん」
やった

「オマエのへたれっぷりに、和葉のあの天然
やったら、結局いつまでたっても決着付けず
ずるずるするのは目に見えてる💢」

遠山に申し訳が立たんと言う親父と
亡くなった親友に託された娘を、傷モノには
絶対出来ん、と言うオカンの出した条件や

一緒に家を出る
一緒に暮らす

せやったら、ケジメ付けて出て行かんかい、この、ボケナス💢と言う親心

おっちゃんは、何も言わんかった
和葉の気持ち次第や、言うて

和葉には、何遍も謝って、好きやからしたに
決まってるやんか、と言うて、漸く、許して
もろうたんや

和葉に土下座して詫びる息子を見て、夜叉は
クスクス笑ってたんやで?

ホンマ、信じられへんわ

工藤や姉ちゃんには、まだ結婚の事実は伏せ
てんねん
せめて、姉ちゃんの進路が決まるまでは、と

オレらの左手には、揃いのリングが光る
オレに、オマエは自覚を持つために、してろ
と言うたんは、親父やった

でも、おかげで、彼氏や彼女やってすぐにわ
かって貰えるから、余計な騒動にもならんし
変な追っかけも減ったんや
ま、書類上は、夫婦やねんけどな

それに、和葉も、漸く信じてくれてん

「せやかて、アンタいっつも、すぐ落とすや
んか」

そう言うて、告白も謝罪も、全部冗談や聞き
間違いやないかって、ずーっと、疑ってたん
やで?ホンマは、ドッキリちゃうかって

指輪見て、オーダーした日付を見て、漸く、
それこそ、漸く、信じてくれたんや

オレとしては、告白する事よりも、その後の
方が、何倍も大変やった

落ち着いて、一緒に歩けるようになったんも
つい最近の事やからなぁ

受験生の姉ちゃんに配慮して、オレらは立ち
寄らず、駅で工藤達と別れた

「ゴメンね、受験終わったら、また遊ぼうね
楽しみにしてるから」

コナンを抱っこした姉ちゃんと、コナンにバイバイした後、いつもの新幹線に乗り込んだ
オレ達

大阪着いて、地元に帰る途中、和葉が帽子に
目を留めたんや

レースのリボンが付いた麦わら帽子は、和葉
によう似合うてた
セール中やったし、買うたらええやん、と言
うと、迷っている様子

せやったら、詫びに、半分は出したるから、
言うて、漸く買うたんや

オレらはずっと、小遣い同額やねん
せやから、懐具合は筒抜けや
だから、和葉は無茶なおねだりはせえへんし
基本、欲しいものは、自分で手にすんねん

「平次、おおきに💕」
「半分な」
「そんでも、嬉しいからええやん」

麦わら帽子を被りご機嫌な和葉と、手を繋い
で歩いて行く
途中の公園で、目一杯に咲き誇る向日葵を並
んで見て、一緒に写真を撮った

満面の笑みで笑う和葉は、向日葵のよう

小さな頃から、ずっと傍に在った花
これからも、一緒に、毎年見られるとええな

繋いだ手を引いて、抱き寄せる
向日葵に囲まれる中、隠れるようにして、こ
っそりとキスを交わした

恥ずかしい、と言う和葉には、買ったばかり
の麦わら帽子の頭をぽんぽんした

並んで帰る道は、優しい夕陽に照らされて
手を繋ぎ、歩く度に揺れる麦わら帽子のリボンがふわふわしとる
何や放っておくと、飛んで行きそうな気がして、思わずひっ摑んでしもうた

「へ、平次!な、何??」
「ん?」
なんか、急にぎゅーしたくなったんや
そう言うて、和葉の頬にキスをした

もう、と言う和葉が、頬にキスをしてくれた
今日は、「服部」さんに優しくせなアカン日やからなぁ?

そう言うと、スルリと腕を抜けて駆け出すのを、そらもう必死に追い掛けた 

こらっ!和葉!待て!
服部に優しくするんやったら、オレにもっとええ事させろや!

はぁ?何言うてん、この変態💢

触らせろ!やらせろ!いや、せめて、ぎゅー
してくれや!オマエから!

えー!嫌や!寄るな!触るな!変態!

麦わら帽子を抑えながら逃げる和葉と追い掛けっこをするオレは、どこまでも真剣や
逃してなるものか
だって、あれはオレの和葉やしな
(//∇//)💕

麦わら帽子の揺れるリボンを追い掛けて
オレは全力で走った

part 3へ
to be continued 
★読み切り短編オムニバス形式シリーズです

7th heaven side B

Ame&Pixivにて公開した二次創作のお話を纏めて完成版として倉庫代わりに置いています^ ^

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