Stay with me 完全版_5

第4章 旅立ち

和葉へ告白しようと動き出したタイミングで
和葉がオレの傍を離れる事を知った

オカンから、和葉の短期留学と、進学問題で
おっちゃんと大ゲンカした事や、和葉の旅立
ちが近い事を知らされて

最初、オレは燃え尽きるかと思うた

何一つ、オレには知らされてへんかったから
まぁ、それはおっちゃんが和葉に押し付けた
無理難題やって知って、あぁ、せやったんか
とは思うたけど

ちょっと、ショックやった

オレが居らんでも、アイツ、ちゃんと色々と
出来るようになってしもうたんやなって思う
てな

頭ではわかってる
和葉やってもう幼い女の子や無いって事

でも
オレん中では、生命張ってもええくらいに大
事に、大事にして来たオンナやねん

ま、カッコええな、とも思うたけどな
潔いと言うか、無鉄砲と言うか

それも含めて、やっぱりオレの和葉やって、
そう思うた

「そう簡単に逢えん距離になるんや
出発前に不安にさせんよう、ちゃんと言うて
大事な虫よけ、渡しておき?」

先日、寺井さんが完成した指輪を届けてくれ
たんで、オカンには指輪の事、バレてんねん

オカンは、代々服部家の嫁に受け継がれとる
ダイヤの指輪を寺井さんに預けよったんや
和葉に、似合うように調整してくれって

「これなぁ、受け継がれては来てるんやけど
暗黙のルールがあんねん」
「ルール?」
「せや、義母になる人が、義娘になる人に、
似合うようにアレンジして渡す事ってな」

オカンがその指輪をとても大事にしていた事
オレも和葉もよう知っとる
オカンは、和葉が短期留学から戻ったら、正
式に結納を執り行うと言うてた
(もちろん、和葉がOKだった場合やけど)

「桜の季節や、きっと和葉ちゃんにとって、
ええ区切りの日になると思うで?」

和葉が短期留学に旅立つのは、クリスマス
もう残りわずかとなり

指輪を買うたり色々したんで、あまり予算も
無いし、せいぜいバイク飛ばして街中走った
り、一緒に家で寛いだりするんが限界やった

キスやハグは毎日したし、死ぬほど甘やかし
もした
暫くは、したくても出来んようになるしな

戻って来たら、オレが事件に出る時と帰って
来た時は、喧嘩しとってもキスとハグはして
くれって約束させたし

(まぁ、その先のあれこれもちゃんといずれ
させてもらうよって、最低限っちゅう事や)

オレの部屋で、雑誌をめくっていた和葉を捕まえてキスをした

え?
唇を離した時、和葉が挙げた声

いや、その、と言う和葉に、何や、言うてみ
なわからんやろ?と言うと、うん、あのな、
と言うと、ぴとっとオレにくっついた

「あ、あんな、わ、私にもあんねん」
「何が」

あ、アンタに触りたいなって、思う事とか

「へ?」

何や、そんな事か、と言うと、そんな事って
と言う和葉を抱っこした

「オレは嬉しいけどな」
「嬉しい?」

触りたいなぁ、と思うて貰えるなん、オトコ
にしたら嬉しいやろが
そう言うもんなん?と言う和葉は、完全にオレに寄りかかって座る

当たり前やろ?と言うて、その耳に囁いた

キスもハグも、オレからばっかりやったら、
オマエ、ホンマは嫌なんかなって、思うや
んか、と

そんな事無いよ、と言う和葉の唇を塞ぐと、
ぎこちなく両腕がオレの首に回された

咬みつくように大きく唇にくらいついて、深
いキスをする

耳にも喰らいついた

びくっと身体を震わせる和葉の背中を撫でて
細い腰を引き寄せる

耳朶を甘噛みして、項やら首筋にもキスをし
て行くオレに、震えながらしがみつく和葉を
抱えていた

「オマエが、やるべき事をして、無事帰って
来たら、しよ」
「ふぇ?」
「ちゃんと大事にするよって」

オレをやるから、オマエもよこせ、と言うと
アホ、と真っ赤な顔でぽかすか叩く

「あー、早う、したいなぁー」

幼子を揺らしてあやす要領で、抱えて甘やか
すオレと、襲われかけとんのに、半ば寝そう
な和葉

(ホンマに、オカンが階下に居らんかったら
喰われてるで、自分)

和葉の両腕が首に回される
近づいた唇に触れる

「ゴメンな、頑張って来るから
…待っててな」

そう言うて涙を落した和葉を抱き寄せて、目
を伏せた

和葉が旅立つ日は、オレが東京まで和葉に付
き添い、東京から英国に飛び立つ和葉を、オ
レと姉ちゃんで見送る事にした

オレは、工藤の代理で地方の依頼を片付けに
行かなアカンようになったんで、和葉を送っ
たついでに、行く事にしてん

大阪から東京までの飛行機は、和葉をしっか
り寝かせて手を握ってた
緊張しいは、きっと英国までのひとりのフラ
イトは中々休まれへんやろ、思うてな

姉ちゃんの元へ行く手前で、物陰に和葉を押
し込んで、キスをした

もうこれで、数か月後まで触れる事は叶わん
のや、と思いながら

めっちゃキスした後の唇に、リップもちゃん
と塗ってやって、姉ちゃんのところへ和葉を
連れて行く

淋しがるオレや姉ちゃんそっちのけで、和葉
はめっちゃ元気に旅立って行った

コナンは、当初来る予定だったんやけど、ど
うもキャンプに行った先で、少年探偵団共々
事件で足止めをくらったらしく、迎えに行っ
た毛利のおっさん共々来られんかったんや

淋しそうな顔した姉ちゃんに、オレも国内線
の搭乗時間まで時間があったんで、一緒に、
昼飯を食う事にした

「何や、あの小僧が居らんだけで静かやな」
「そうねぇ、コナンくんが居ないと淋しくな
るようになっちゃった」

そう言うて笑う姉ちゃんは、やっぱりどこか
元気が無い

「どないしたんや?工藤と、何かあったんか
喧嘩でもしよったか?」
「それよりも、私、まだちゃんと報告、和葉
ちゃんからも、服部くんからも聞いてないん
ですけど??」

そう言うと、左手の薬指を指さした姉ちゃん

「あぁ、まぁ、その」

あ、コナンにはまだ内緒やで、と言うた
もちろん、工藤にも

「え?どうして?」
「実はな」

オレは、和葉の事を話した

オレが和葉にプロポーズしたんは、まだ僅か
1週間前の事やって事
留学や進学の事で、和葉が悩んでた事も、オ
レは全く気が付いてへんかった事

「え?いきなりプロポーズしたの??」
「当たり前や
そんな何遍も恥ずかしい事、オレが言えるワ
ケ無いやんか」

相手変更する気も無いし、今更やろ、と言う
オレに、ぽかん、とした顔をした姉ちゃん

いきなりで、和葉ちゃん、良く承諾したねと
笑った

「いや、姉ちゃんとおんなじ顔しとったで」

最初はな、と言うと、だよね、と少し笑う

そう、和葉はあの日以降も、何度も言うたん
や、ホンマやの?と

それは、いつもごまかすオレに非があるって
事はわかるんやけどな

…まぁ、一応、オレもオレなりに傷ついたり
もするワケで
それで、毎日キスやハグをしまくったと言う
のもあるんやけど
(さすがにそこは姉ちゃんには言えんから)

「一応、オレはオレなりに、用意したんや
いっつも、証拠、証拠、言うてしもうたから
証拠と証人と承認を用意して」

とにかく、和葉に信じてもらう事からのスタ
ートと言う情けない事態になったんやけどな
と言うと、姉ちゃんが恐ろしい事を言うた

「本当よね、これ以上逃げ回るなら、私か
コナンくんで服部くんの代わりに和葉ちゃん
に告白しちゃおうかって言ってたくらいなん
だからね?」

(何やて?それは勘弁してほしい・・・)

苦笑するオレに、それでも安心した、と呟く

「和葉ちゃん、キレイになったもん」

あの皐月堂での時も、そうだったけど、あの
時よりもずっと大人っぽくなったと思うし、
凄みが増したって言うか
そう言うて笑う姉ちゃん

「和葉な、まだ実感もちゃんと湧いてへんし
工藤と姉ちゃんが揃ったところでちゃんと報
告したい、言うててなぁ」

まぁ、揃いの指輪しとったらバレてしまうん
やけど
少なくとも、自分が帰国してから、ちゃんと
したい、言うたんや

「何か、和葉ちゃんらしいね」

自分より、周囲を優先してしまうところは、
確かにオレもそう思うた

「で、オレの和葉を手に入れた感想は?」

くすっと笑った姉ちゃんに、オレは愚痴った

「そんなん、オレかて漸く幼なじみだけから
一歩進もう、と思うてたんに」

告白から1週間で、都合3カ月も離れ離れ何
て、もうどないしたらええんや?

オレ、告白した事、和葉に忘れられてしまう
んや無いかって、今度はオレの方が疑心暗鬼
やねん

「確かに、一番盛り上がるタイミングでそん
なに居ないなんてねぇ」

服部くんも、タイミング悪かったね、と苦笑
された

「まぁ、暫くは遠距離やけど、今までがオレ
らの場合は近過ぎたくらいやからええとして
…で、姉ちゃんは、どないしてん」

うーん、と悩んだ後、カバンから小さな箱を
出した

「何や、コレ」
「昨日、届いたの…新一から」

あぁ、と思うた
工藤に、和葉に贈るもの依頼した、言うた時
(完成がいつとは言うてへん)
その店、紹介して欲しい言われてん
で、店主の了解をもろうて、工藤に紹介した
んやった

箱の片隅に、シルクハットの模様が銀色で浮
かびあがっとるから、すぐに気がついた

中に在ったんは、片翼のネックレスで、おそ
らくピンクゴールドやな
羽根にいくつか淡いピンクの小さな石と透明
なんがついてた

「あぁ、ネックレスにしたんか」
「え?服部くん、知ってるの?」
「いや、その…
で、コレがどないしたんや」

「あのね、」
新一の欠点のひとつにね、プレゼント選びの
才能が無いって言うのがあるの

「はい???」

「だって、シャーロックホームズの何とか、
とか、真っ赤なバラの花束とか?」

(おいおい、工藤、オマエ・・・)

「シャーロックホームズは、新一の得意分野
でしょう?赤いバラは、多分お父さんの影響だと思うんだ」

あぁ、何となく、姉ちゃんの憂鬱の内容がわ
かったかも知れへん

「でも、コレ、センス良過ぎだと思わない?
…だからね、誰か、オンナの人と一緒に選ん
だのかなって」

恥ずかしそうな困った顔をした姉ちゃんに、
オレは種明かしをした

「それは無い
あのな、この店、完全オーダーの店やねん
オレのこの指輪、頼んだ知り合いの職人さん
が居る店やねん」

ちなみに、その職人さんが、贈り主と贈る相
手の事とか、贈る目的だとか聴取して、デザ
インしてくれる店やで?

「心配せんでも職人さんはおじいちゃんや」

オレが工藤に頼まれて、店、紹介したんや
アイツ、自力で行ったんやな
オレ、連れて行ってやる、言うたんに

「え、そうなの??」
「あぁ、間違い無く、あの店や
箱のマークでわかるし、間違いないで?」

何やったら寺井さんに確認したろか?と言う
と、大丈夫、と首を振る姉ちゃん

「ここなぁ、オレとか工藤みたいに、この手の事に詳しく無いやつでも、ちゃんと石の意
味とか、素材の特徴とかまでレクチャーして
くれるんや」

神戸にあるんやけど、今度、工藤が戻って来
たら一緒に行ったらええ
オレも、和葉が帰国したら、一緒に行く予定
やねん

「そうなの?」
「あぁ」

何だ、そう言う事だったのか、と言う姉ちゃ
んは、工藤に申し訳ない事をした、とため息
電話でお礼を言う時も、本心から喜べず、多
分、新一、誤解してる、と

「まぁ、大丈夫や
ちゃんと、それ、大事に身につけてたら工藤
も喜ぶと思うし」

箱に入れっぱなしにはするなよ、と言うと、
うん、と笑った

大事そうに付けた姉ちゃんをぱちり、と撮っ
て、和葉に転送するついでに、工藤に送った

速攻で鳴り出すオレの携帯

そろそろ時間やし、と姉ちゃんと別れて、オ
レは搭乗口へ向かう途中で鬼のように鳴る電
話に出た

そらもう、もの凄い勢いで怒る工藤

何、蘭とランチデートなんかしてんだよ、と
オレ、和葉ちゃんとディナーとか行くぞ、と
脅す工藤

姉ちゃんの誤解を解いてやったんだ、有り難
く思え、と言うて、事情を説明した

「だから、昨日、蘭、あんまり喜んでる風じ
ゃなかったのか」
「おぉ、そう言う事やから」

そろそろ飛行機の時間やから、と電話を終え
オレは国内線搭乗口へ移動した

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to be continued 

7th heaven side B

Ame&Pixivにて公開した二次創作のお話を纏めて完成版として倉庫代わりに置いています^ ^

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